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「膝をつける投球フォーム」はもう古い?現代ピッチング理論から徹底分析!

5.投手編
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膝をつける投球フォームの是非を考察する

〜古き指導法と現代ピッチング理論の違い〜

かつて、昭和から平成初期にかけての野球指導では「軸足の膝を地面につけるように投げろ」と教わった投手は多かった。

筆者自身も、投球の際に「脛から膝を地面に擦りつけるように沈み込め」と指導された経験がある。

しかし、近年のプロ野球やメジャーリーグを見ても、そのようなフォームの投手はほとんどいない。

なぜこの指導法は廃れたのか? そして膝をつけるフォームにどんな意味があったのか?

本記事では、その背景とメリット・デメリット、そして現代的なフォームへの修正方法を掘り下げていく。

昔の「膝をつける」フォームの意図とは?

まず、この指導の背景を整理しておきたい。

かつての「膝をつけろ」という教えには、主に以下のような狙いがあった。

1.体をしっかり沈み込ませて下半身主導で投げるため

膝を地面につけるほど沈み込むことで、下半身のエネルギーを上半身へ伝える感覚を掴ませる目的があった。

2.前方への体重移動を強調するため

投球動作の後半で、軸足から前足への体重移動をスムーズに行わせるための補助的な動作として教えられていた。

3.リリースを低くして角度をつけるため

リースポイントを低くすることで球に「伸び」と「角度」を出す狙いもあった。

 

当時は「力感」や「根性」を重視する時代でもあり、泥だらけになって投げる姿こそが“本気の証”と捉えられていた側面も否めない。

現代ではなぜ見なくなったのか?

現代野球では、「膝をつけるフォーム」は非効率的とされている。

理由は大きく3つある。

① エネルギーロスが大きい

膝を地面に近づけすぎると、重心が下がりすぎて体全体の回転運動が止まりやすくなる。

特に股関節の回転が遅れ、リリースのタイミングがズレることで球速が落ちやすい。

② ケガのリスクが高い

膝や腰に過度な負担がかかり、半月板損傷や腰椎疲労の原因にもなる。

また、地面との接触で擦過傷や炎症を起こす危険もある。

近年のトレーニング理論では、「下半身を沈める」よりも「骨盤を前に倒す(ヒップファースト)」動作が重視されている。

③ 軸足の粘りと体幹の連動が失われる

プロ投手の多くは、軸足をしっかり残したまま骨盤を回転させ、上体の力を遅れて出す「分離動作」を重視している。

膝をつけるほど沈み込むと、この分離が難しくなり、腕の振りが遅れる傾向にある。

    

現代プロ野球の代表的なフォーム

たとえば、大谷翔平投手や山本由伸投手、今永昇太投手のフォームを見ても、軸足の膝は最後まで浮いている。

共通しているのは「軸足の内旋」と「骨盤の回転」でパワーを生み出している点だ。

膝をつけるような動きではなく、下半身の“ねじれ”と“しなり”を利用するスタイルが主流になっている。

「膝をつけるフォーム」にも残るメリット

とはいえ、完全に否定するのも早計だ。

膝をつける動作には、以下のような学びもある。

  • 下半身を意識したフォーム習得の入口になる
  • 上体の突っ込みを防ぎ、前方への体重移動を体感できる
  • リリースを低く保ち、変化球(特にフォークやスライダー)のキレを感じやすくなる

つまり、「膝をつけるフォーム」は“最終形”ではなく、“感覚を掴むためのドリル”として活用するのが現代的だ。

フォームを修正する方法

もし現在も「膝を地面につける癖」が残っている場合、次の手順で修正するとよい。

ステップ①:動画で重心移動を確認する

スマホやカメラで横から撮影し、膝がどのタイミングで沈んでいるかをチェックする。

軸足が早く抜けている場合、体重移動が前のめりになっている証拠だ。

ステップ②:骨盤を前に倒す感覚を掴む

ピッチング練習の際、「お尻から動き出す」意識を持つ。

骨盤を前に倒す(ヒップファースト)ことで自然と体重移動がスムーズになり、膝を沈めずにパワーを伝えられる。

ステップ③:ワンレッグドリルで軸足を安定させる

片足立ちで静止しながら腰を回す練習を繰り返す。

軸足の内旋と体幹のバランス感覚を鍛えることで、膝を地面につけずに投げる安定したフォームが身につく。

ステップ④:実戦で感覚を微調整

フォーム修正は一気に変えようとせず、キャッチボールやシャドーピッチングで感覚を慣らす。

膝が地面に触れない範囲で「沈み込みすぎないフォーム」を体に覚えさせていこう。

    

結論:膝をつけるより「膝を支点に使う」

現代投球理論において重要なのは、「膝をつけること」ではなく「膝を使って地面反力を生み出すこと」だ。

軸足膝は地面を押し返す支点として使うことで、球速アップと制球安定を両立できる。

つまり、昔の指導法の“意図”は間違っていなかったが、“方法”が現代理論では更新されているということ

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まとめ

  • 膝をつけるフォームは、下半身を使う感覚を掴む練習としては有効。
  • ただし実戦では非効率であり、エネルギーロスやケガのリスクがある。
  • 現代投手は「膝を支点にして骨盤を回転させる」動きが主流。
  • 修正には、動画確認・ヒップファースト・軸足安定ドリルが効果的。

時代とともにフォーム理論は進化する。

大切なのは、形ではなく「エネルギーをどう伝えるか」という本質を理解することだ。

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