はじめに:盗塁の裏ワザ「ディレードスチール」とは?
草野球やプロ野球において、ランナーが塁を進める「盗塁」は非常に重要な戦術です。しかし、通常のスタートで走る盗塁とは別に、「ディレードスチール(ディレイドスチール)」という、やや変則的な走塁方法があるのをご存じでしょうか?
ディレードスチールとは、ピッチャーの投球動作中ではなく、キャッチャーがボールを受け取ってから少し間をおいてスタートする盗塁のことです。キャッチャーや内野手が油断したスキを突いて走るため、戦術として非常にトリッキーで、成功すれば相手に与える心理的ダメージも大きいのが特徴です。
草野球では特に有効な場面も多く、成功率を上げるコツを知っていれば試す価値アリの戦術です!
ディレードスチールを成功させるコツ・技術
ディレードスチールは奇襲戦法のような側面が強く、相手バッテリーの油断や内野守備の配置、投球後の動きをよく観察する必要があります。成功させるには以下のポイントを押さえましょう。
1. リードを取りすぎない
通常の盗塁のように大きくリードを取ると、相手も盗塁を警戒してしまいます。ディレードスチールでは、控えめなリードで相手を油断させるのがポイントです。
2. キャッチャーの送球動作を見極める
キャッチャーが送球モーションに入る前、あるいは送球しないと判断した瞬間にスタートを切るのが理想です。特に草野球では、投球後に油断してボールを内野手に返す際などにスキが生まれます。
3. 相手守備の立ち位置・反応を見る
セカンドベースカバーの遅れや、ショートが深めに守っているなど、守備の配置に不備があるときはチャンスです。普段から相手守備のクセを観察しておくと効果的です。
4. 走るタイミングをバッターと共有する
バッターが打つ可能性がある状況では危険が伴います。ディレードスチールを試みるときは、**「ノーサインでも味方打者とアイコンタクトを取る」**くらいの連携が理想です。
ディレードスチールを試みるべき場面
では、どんな状況でディレードスチールを試みるべきでしょうか?以下のような場面が狙い目です。
ランナー1塁・2アウト、バッターが粘っている場面
カウントが深くなればなるほど、守備も気が緩みやすいです。
キャッチャーが二塁送球に自信がない選手の場合
草野球では経験の浅い捕手が狙い目。
一塁ランナーが足の速い選手の場合
初動の加速が早い選手は成功率が高まります。
ピッチャーが投球後、守備に無関心なタイプの場合
返球処理が雑な場合はチャンス。
ディレードスチールのデータ:NPBでの実例と成功率
プロ野球(NPB)ではディレードスチールはやや珍しい戦術であり、明確な公式データとしては記録されていません。ただし、試合中に「ディレード気味の盗塁」と実況・解説で表現されるケースはあります。
例えば、2023年シーズン中には**中野拓夢選手(阪神)や周東佑京選手(ソフトバンク)**が、相手守備のスキを突く走塁で「ディレード気味」の盗塁を成功させた場面が複数見られました。
推定される成功率は、プロでは通常の盗塁(平均成功率70〜75%)に比べて若干高い80%前後とする分析もあります。これは、ディレードスチールは「仕掛けるタイミングを見極めた上で走る」ため、より成功率が高くなりやすいという背景があります。
通常の盗塁と比べて成功率は高い?低い?
実はディレードスチールは「普通の盗塁より成功率が高くなる可能性がある」と言われています。
なぜなら、
- 相手が盗塁を想定していない
- 守備陣の意識が別のプレーに向いている
- 盗塁を「見てから反応する」守備側にとって、反応が一歩遅れる
という理由からです。
ただし、中途半端にスタートを切ると失敗しやすいのも事実。ディレードスチールは「狙って成功させる」ものであり、常に有効な戦術ではありません。相手チームの守備力や心理状態を読む観察眼も重要です。
おわりに:草野球だからこそ効く“意外性”の一手!
ディレードスチールは、草野球でも意外と使える“戦術的な盗塁”です。守備のゆるみが出やすい草野球では、プロよりも成功しやすい場面が多く、相手チームの意識を乱すのにも効果的です。
一方で、やみくもに仕掛けるとアウトになって流れを失うリスクもあります。チーム内での共通認識や、観察力・タイミングの見極めがあってこそ成功する技術です。
ぜひ次の試合で、相手が油断した“その瞬間”を見逃さず、ディレードスチールを決めてみてください!
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